2010 年 3 月 のアーカイブ

長元坊

2010 年 3 月 24 日 水曜日

本ブログも、他エントリーがめっきり少なく、「鳥バカ日誌」的様相を呈してきたが、気にせず更新する。

このお彼岸はすさまじい強風で、外を見ると視界が3Kmほどしかきかないことに驚いた。これが黄砂か!
このような強風のときは、黄砂や花粉もよく飛ぶらしいが、猛禽も良く飛ぶのだ。逆風の中、カツラが飛ばないように注意しながら、花粉対策マスクと撮影機材一式を担いで、近くの水田地帯へ。
いたいた、電柱のてっぺんに「チョウゲンボウ(長元坊)」の♀と思しきちょっと地味な個体。

本日の主役、古風な名前のチョウゲンボウは鳩サイズの小型の猛禽で、ハヤブサの仲間。しかしハヤブサのように300km/hほどのスピードは出ないそうだ。都会の鉄道や道路の橋桁で子育てをすることもあり、個体数も多い。実は割と身近な猛禽なのだ。猛禽なのにつぶらな黒目(他の猛禽の多くが精悍な黄色い虹彩)と、猛禽なのに昆虫を狩る習性で可愛さ倍増、僕なんかは簡単にノックアウトである。

いつもの通り、僕の存在をあまり意識しなくなるまで、しばらく距離をとって観察する。行動パターンがだいたい分かったところで、風上で、餌獲りの邪魔にならない位置にセッティングしてじっと待つ。

チョウゲンボウ

チョウゲンボウ 十八番披露中

鳩サイズとはいえ、自慢の翼と尾羽を広げると、画面からはみ出さんばかりの迫力で、猛禽の風格がある。
これは羽ばたきながら、尾羽で器用にバランスをとりつつ、ヒラヒラとトンボのように、空中の一点で長時間静止するホバリング(=停空飛翔)中のひと駒だ。上空から獲物の動きを見定めるのが目的だから、頭はほとんどぶらさない。風の状態によっては、羽ばたかずに静止することも出来る。
上の状態は距離13mほどで割と近いが、獲物に夢中になっていると人間などお構いなしだ。
必ず風上に向かってホバリングするから、このように正面から見たければ風上から、というのがポイントである。

昔撮影したホバリングの動画がでて来た。 - サイシンノFlashPlayerヲイレテクダサイ –

狙いを定めたら、急降下して獲物を確保する。

舞い降りる

舞い降りる

それにしても、これほど熱心に何を狙っているかというと...(↓拡大図)

チョウゲンボウ

チョウゲンボウ 獲物を捕らえ凱旋

この日はほぼ100%、ケラ(オケラ)。暖かくなって沢山でてきたのだろう。
餌は小鳥やネズミなどの小動物がメインのはずだが、秋冬はバッタ、カマキリ、コオロギ、ケラなどの昆虫類や、カエルやトカゲなども捕食する。
こんな小さな昆虫では数をこなさないと腹は膨れないから、何度も何度も降りてくる。ホバリングの消費エネルギーも馬鹿にならないだろう。見る側としては楽しめるが、野鳥にとっては生命がかかっているのだ。
ところで、そんなにケラが沢山いるのかと、あたりを探してみたが、僕には一匹も見つからなかった。やはりプロフェッショナルである。

凱旋

凱旋

獲物を運ぶときは、口で咥える場合と脚で掴む場合があって、いずれにしても安全な場所に持ち帰り、脚に持ち替えてむしりながら食す。昆虫などは空中で帆翔しながら食事を済ませてしまうこともあった。人間が地面を歩くのと同じ感覚で、翼で自在に風を操れるのだろう。

–おまけ
別の猛禽「ノスリ」も負けじと出現。

ノスリ

ノスリも出現

ノスリはカラスとは相性が悪く、出て来るとすぐにカラス集団のスクランブル攻撃に逢う。「モビング」と呼ばれる偽攻撃行為だ。集団で来られると鬱陶しいので、逃げるしかない。
しかしチョウゲンボウと同じ電柱に止まっても、不思議と喧嘩にはならない。棲み分けがなされているのだろうが、野鳥世界の契約は分からないことだらけだ。