2011 年 11 月 のアーカイブ

ポックリジャンク

2011 年 11 月 20 日 日曜日

”ポックリジャンク”と言う言葉をご存じでしょうか?

”ジャンク”とはWikipediaの定義によれば
「ジャンク品は廃棄物の一形態である。ただし、ジャンク品と呼ぶ場合は完全な廃棄物と異なり、有用な部品を取り出してで再利用できる見込みのあるものとして考えられている。再利用の方法は様々だが、適切に取り扱えば、掘り出し物の宝の山というニュアンスで使われている。」
とあります。
最近は少なくなりましたが、昔から東京秋葉原や大阪日本橋などには、”ジャンク屋”と言われるお店がたくさんあり、米軍放出の無線機器や、某国営放送局などの廃棄物、そこから取り出した部品を安く販売していました。
おそらく原点は戦後の闇市、露天商の名残かと想像しています。

オーディオマニアはそのような店で、真空管を始めアンプ製作の部品、測定器などをリーゾナブルな価格で手に入れ利用したものです。基本は業務用の機材、パーツ等で普通手に入らないか、買えても非常に高価な部品が中心で。民生用の部品などは相手にしませんでした。
もちろん中古品ですから、購入時のリスクは高く、使い物にならない物をつかまされたり、時にはすごいお宝を格安で手に入れたりと、中々スリルがあり楽しい時代でした。店の親父との駆け引きや、値引き交渉など茶飯事で、なじみの店から教えてもらった情報は、貴重な財産でした。今ではそのようなお店も少なくなり、ネットオークションにその片鱗が残されています。
最近はデジタル化の進歩や、部品の機能の高度化、専用機能化で、再利用できる部品(=ジャンク)が少なくなり門外漢には使いようがないガラクタが多く、ジャンク屋さんも減少していったようです。

私も含めて多くのホビイストは昔から、ジャンク部品を買い求めては貯め込んでいます。
「次はこれを使ってあれを作ろう。」「今すぐ必要ないが、これは良い物だからいつかは使うだろう。」
「こんな安い物なら買わなきゃ損だ。」などと理由を付けて様々な物を買い込みます。
数百本の真空管、数十個のトランス、数え切れない抵抗、コンデンサー、等々、私の部屋の在庫です。
それだけではありません、趣味という物は恐ろしい物で、他人が理解できない物を色々と必要?とします。
私の場合は、工作機械(150kg超の旋盤やフライス盤、ラジアルボール盤、メタルバンドソーetc)、オーディオ関連の測定器(オシロスコープ、6桁の精度のデジタルボルトメーター、歪率計、)、サーボモーター、ステッピングモーター、ボールネジ、リニアガイドなどのメカトロ部品、顕微鏡???、….マア、我ながら色々貯め込んだものです。
これらは、私にとっては何十年も続けている趣味への投資の結果なのです。(リターンは投資に見合っているとは申しませんが….)
それらの成果としての現在のオーディオシステム(スピーカーシステム、真空管アンプ、レコードPlayer,オープンテープデッキ、DAT、etc、etc)等、自己満足の趣味の世界があります。
 

で、”ポックリジャンク”
このような、私にとってはお宝ですが、もし私が”ポックリ”行ってしまったらこ、残された家族に取ってみれば、何に使うものかも分からず、その価値も評価できないどころか、重すぎて動かすことも出来ない物も….。
老若男女を問わず、多かれ少なかれ他人には理解しがたい、趣味のコレクションはあるはずで、これらをマニアは自嘲的に”ポックリジャンク”と呼んでいるのです。
もう10年以上も前に、リタイアされたオーディオの大先輩(ポックリではありません!未だご健在です)が、もうアンプ作りはやめて、音楽を聞く方に専念するから、手持ちの部品を取りに来いと言われて、ありがたく真空管やトランスなどを頂戴したのですが、その時頂いた部品の中には未だに手つかずで残っている物もあります。
潮時を見極め興味のある人に差し上げるというのは賢明な方法なのでしょう。
等と考えながら、今日もオークションで「入札」ボタンをポチリ……。
中々減らないなぁー。

 

ゲンコツ

2011 年 11 月 3 日 木曜日

久々の書き込みです。

5月の末にアキレス腱の手術を余儀なくされ、3ヶ月ほど休んでいました。
3週間の入院、その後の自宅療養、と外出できない日々が続き最近やっと、杖をつけば外出が可能になりました。

多くの方々にご迷惑をお掛けしていることをお詫びいたします。

その間、病院にもiPadとモバイルルーターを持ち込んでいたので、仕事を続けながら??? 持て余した時間を随分ネットオークションを楽しみました。(というかずいぶん散財しました..)
で、本題です。
”ゲンコツ”をご存じでしょうか? 私は学生時代を京都で過ごし、授業をサボっては河原町界隈のJAZZ喫茶に入り浸って4年間を過ごしていたのは良い思い出です。
その時代、(40年ほど昔ですが…)数ある京都のJAZZ喫茶の中でも、ビッグボーイ、ブルーノート、蝶類図鑑、シアンクレール等が有名どこでしたが、今は殆ど無くなってしまった様です。その中でマイナーですがオーディオ好きの人間がよく通った百万遍近辺のJAZZ喫茶(名前は忘れてしまいました)で鳴っていたのが通称”ゲンコツ”(正式には「8PW1]後に「20PW09」に改名)でした。校内放送用みたいな小さな箱に入っていたのですが、なぜか300Bシングル(真空管アンプ)でドライブしており、当時全盛のJBLMacintoshラインとは全く違う趣で、ボーカルをしっとり鳴らしていたのを覚えています。
8PW1と言うスピーカーは松下電器製の20cmダブルコーンのフルレンジスピーカーで、球形のイコライザーがゲンコツのような形で愛称になっていました。(実物は赤ん坊のゲンコツ程度ですが)発売されたのが1954年11月、生産販売の終了が1984年とされています。30年の長きに渡って”ゲンコツ”の愛称で親しまれ、使われてきた事になります。1984年の販売定価が3,900円だったそうです。当時のフ国産ルレンジスピーカーとしては、三菱ダイアトーンのロクハンP610Aと双璧の製品でした。

その”ゲンコツ”がオークションに出品されているのを見つけてしまい、懐かしさのあまり懐具合も考えず落札してしまいました。構内放送用のSPの保守用として保管されていた物らしく全くの未使用品、ターミナルやボイスコイル引き出し線もピカピカです。製造終了が1984年なので、少なくとも25年は眠っていたことになります。

 

30年の眠りから醒めた20PW09

25年の眠りから醒めた20PW09

入手したときは、例の「南アルプスの天然水」の段ボール箱にでも入れようと思っていたのですが、オーディオ仲間の連中が口をそろえてチャンとした箱に入れろとのお達しがあり、何年かぶりにスピーカボックスを制作する羽目になってしまいました。(身体障害者なのに…)
あまり手間をかけたくないので、材料は塗装済みの棚板(ゴムの木の間伐材とかで、結構重い割には、加工がしやすい。)これをホームセンターでカットしてもらい(0.5mm以下の精度でカットしてくれます。)接着剤と木ねじで組み立てるだけです。サランネットの工作も面倒なので、スピーカーにはアルミパンチングメタルのグリルを付けることに。
不自由な体で、他のこともやりながらの作業なので一月以上かかってしまいましたが、先週やっと箱が完成し音を出すことが出来ました。

ゲンコツの由来のイコライザー球が独特

あまり飾り気のない出来です。

 

自室で特性を測定してみましたが、まあカタログに近い特性です。容積が小さい分f0が上昇しているのは予想通りで、本来ならばダラダラ下がっていくはずなのですが、低音の50Hzにピークが出ています。小さい箱のせいなのか、部屋や測定系の原因なのかは今のところ分かりません。

周波数特性はPinkNoiseで計測

 

で、音はと言うと…
マア予想どおりと言うか、予想を上回ると言うか…。 所詮20cmフルレンジを40リットル程の密閉箱に入れただけなので、殆どノスタルジーで組み立てた物なのですが、予想通り女性ボーカルやサックスなどの小編成コンボなど、気持ちよくならしてくれます。ビッグバンドやオーケストラは最初から相手にしていないので、ナローバンドで十分です。最新の録音には合っていないようですが、50~60年代の録音を夜静かに聞くと言う目的は達成しています。低音の鳴り方に詰まったところがあるのは箱のせいかと思いますが、暫くはこのままで聞き込んでいこうと思っています。
しかし、50年前に設計されたスピーカーがこれほどの音を出してくれるとは…..、

次は50年前の真空管アンプですかね…