2012 年 3 月 のアーカイブ

ヴィンテージ・デジタルカメラ~Kodak DCS 410 【前】

2012 年 3 月 11 日 日曜日

お客様より、思わぬお宝(少なくとも我々にとってはお宝ですよ)を頂戴しました。ありがとうございます!!

とりあえず、はい、これです↓

DCS-410

Kodak DCS-410

2個体も捕獲。早速充電して、火を灯してみた。

さてこれは一体何でしょう?

Kodak DCS 410

 

Nikon F90(海外名N90)にハイスピードモータを付けた様なルックスだが、実はNikonの姿を借りた、Kodak社のプロフェッショナル・デジタルカメラシリーズのひとつだ。

日本国内では1996年10月のプレスリリースがあるので、当社の設立時期とほぼ一致する代物だ。ただ、この個体は、ベースカメラがF90のマイナーチェンジ版のF90x(N90s)=1997年登場、であることから、後期のモデルと思われる。

フィルムメーカー自らフィルムをデジタルに置き換えるという、何とも皮肉な製品だが、先見性はさすがである。

気になる発売時のお値段、何と999,000円。(135-36EXポジフィルム約1000本分)

日本人の感覚なら100万を切るときは、998,000円とか980,000円とする慣習があるのだが、999とは、いかにもUSらしい値付けである。それはさておき、デジカメ1人1台時代の今日の価値感覚では、これははとても高額に思えるのだが、当時は数百万のモデルが当たり前のなか、カラーモデルで100万円を切ったことに意義があった。繰り返すが、これはコンシューマ向け製品ではないのだ。

その当時私は、どちらかというと販売する側に従事していたこともあり(もちろん自分は販売実績などない)、非常に興味があったので、ハンズオントレーニングと称して、このひとつ前のモデルDCS 420をデモ機としてKodakさんに個人的に貸し出しをお願いしたことがある。次から次へと貸し出しされていた中、偶然3日ほどスケジュールの隙間があり、運良く借り受け試用することができた。よくぞ素人相手に貸してくれたものだと今更ながら思う。

実際に使ってみると、その写真的な情報量の少なさにフィルムの代替にはまだ相当時間がかかるだろう、との印象だった。フイルムを分解した方が圧倒的にすぐれていたからだ。しかしこの時点でのデジカメの存在意義は、画質というよりも簡便性と即時性にあり、そういったことが重要な報道用途や扱いの小さいカタログフォトには十分に適ったものであった。実際にそういった分野で活躍し、頂いたお客様もその様に活用されたのだろう。

そして、デジタル技術の進化は速く、この後の3~5年で本格的な国産機も登場し、価格もコンシューマでも何とか購入できるところまで下がり、やがて性能面でもフィルムに匹敵、あるいは凌駕して行くこととなる。そのような高性能デジタルカメラの礎を築いたのがDCSシリーズであると思っている。だから今日『K社はデジタル化の転換が遅れたから...』と一言で総括されるのは、90年代を傍観していた者からすると、ちょっと違和感がある。

DCS 410 Front  View

DCS 410 Front View

ベースカメラのNikonにも負けないよう、赤文字で堂々と旧”Kodak”ロゴ。すごい貫禄。21世紀に再びこれを拝めるとは思ってもみなかった。

主な仕様

  • 画素数: 約150万画素(1524 x 1012px)
  • イメージャ: CCD (13.8 x 9.2mm)
  • 記録メディア:PCMCIAカード
  • I/F: SCSI
  • 記録画像形式: 12bitRAW (TIFFフォーマット)

150万画素とは、サービスプリントがやっとのサイズ。一昔前のケータイにも及ばない低さだし、デジカメの顔である画像確認用の背面液晶ディスプレイも付いていない。画角は135フィルム比で2.6倍。つまり50mmレンズを付けると、130mm相当の画角となる。カメラバックには25ピンSCSIインターフェース装備。今時PCにSCSIなんて付いてないよね。CFカードもUSBもこれからという時期で、どれをとっても時代を感じさせるスペックである。

ファインダー

DCS 410の ファインダー

DCS 410 のファインダー

↑実際のファインダー内。

中央の太い黒枠が撮影範囲。まさに覗き窓の狭小さだ。135フイルムカメラシステムをそのまま借りているので、このような対応となる。ちょうど「クロップモード」のような感じだが、黒枠はインポーズではなく、スクリーン上面に直接マーキングされている。135フル・フォーマットのデジタルカメラが登場するのは、もう少し時間がかかる。

記録媒体

記録メディア

記録メディア

シャッターを押したが切れない。とりあえず何らかの記録メディアが必要なようだ。メディアと言っても、CFやSDではない。フラッシュメモリーがまだ高価で一般的ではなかったので、ハードディスクが中心だったのだ。当時使っていたのは、340MBなどのPCMCIAのハードディスク。もちろんそのようなPCMCIAカードは持っていないのが、『ジャンク箱』を漁ってみると、CF->PCMCIA変換アダプタがあった。それに、恐らく今では入手困難であろうメガバイト単位のCFを挿して使用することができる(はず)。時代が時代なのでギガバイト級の大容量CFは認識しないだろう。捨てずに持っておくものである。
またSCSIでPC(この時代は写真業界はMacintosh全盛)と接続すれば、ホストに直接画像を転送できるのではなかったかと思う。フィールドよりむしろ、スタジオで活躍したカメラであったはずだ。

 

つづく

 

オルソンアンプ

2012 年 3 月 10 日 土曜日

Olson Type Amp

前回50年前のスピーカ(ゲンコツ)を鳴らしてみたので、今度は同じ時代のアンプを作りました。

表題の「オルソンアンプ」はRCA研究所のハリー・オルソン博士が、1947年に、ボストン交響楽団の生演奏と、スピーカ(RCA LC1A)からの再生音のすり替え実験を行うために、設計・製作されたアンプです。
当然その時代では真空管しかなく、出力もたかだか5W程度で、昨今の数十~数百Wクラスのアンプと比べると見劣りしますが、どの程度の音がするのか聞いてみたいと思っていました。
アンプの特徴は、出力段は五極管(RCA 6F6)の3極管パラレルプッシュプル、無帰還、45回転のレコード再生用のプリアンプが付いています。回路はシンプルで、まるで電子回路の教科書に出てきそうなくらいで、色々な資料に出てくる物理特性も今時のアンプに比べれば貧弱なものの様です。
今回製作にあたり、部品は極力手持ちの部品(ポックリジャンク)を使用することとし、細部まで拘ったイミテーションは諦めます。
(真空管等は、当時のものが手に入りますが、CRやトランスなどは手に入れることが出来ず、又手に入ったとしても経年変化が予想され、あまり使いたくありません。)その雰囲気を再現しようと言うことです。
マニアックな人から見ると「これはオルソンアンプとは言えない」と言われそうですが、所詮趣味の世界なのでお許し願います。
ステレオアンプとして製作するため、手持ちの部品ストックを調べ、以下のような方針で製作しました。
1)パラレルppは諦め、シングルpp ステレオアンプとする。
2)手持ちの電源トランスの関係で、電源電圧は345Vとする。(オリジナルは380V)
3)初段の6J5プリアンプは省略する。
4)電源にチョークコイルを挿入し、ノイズの低下をはかる。(これは手持ちのOPTと同型のチョークがあったため、デザイン上の好みで採用しました。)
5)  極力手持ちの部品を使用する。真空管6F6もRCAの新品が1ダース近くあるので、プレート電流が2%以下のペアーを2set確保できました。
トランス類も、タムラのF685が2個有り、チョークもしかりです。F685のインピーダンスが8KΩなので、あっさりパラレルプッシュプルを諦めました。
レイアウト図
最近は、シャーシレイアウトをMacで作り、原寸でプリントしたものをシャーシーに貼り付けポンチを打ち、穴を空けます。
回路図もCADを使うようになりました。
部品の取り付けがほぼ完成。ケース、トランスを含めて殆どの部品が手持ちで済んでしまうというのは我ながら驚き。いかに長期在庫が多いか…
回路はシンプルなので、配線はゆったりしています。
オリジナルの回路通り調整箇所は一カ所もありません。無調整です。
特性は、個々の部品の性能と、精々部品配置や配線に依存します。
簡単な特性を取ってみると
最大出力 3W x2  残留ノイズ 0.2~0.3mv
周波数特性 10~70kHz ±3db
歪み率 0.5% /1W時
歪みは典型的なソフトディストーション(出力に応じて歪み率が増加する)で小出力時の歪みが少なく、各周波数共に揃っているのが特徴です。又、残留ノイズが少ないのは球のバランスが良くとれているのと、チョークコイルのおかげかも知れません。無帰還アンプとしては良い方だと思います。
で、音は?
未だ十分に聞き込んでいないのですが、例のゲンコツとは相性が良いようで、ボーカルなどは雰囲気がでます。
MainのAltecを鳴らしても、常用の真空管OTLアンプと比べるとダイナミックレンジが狭いかなと感じることはありますが、結構朗々と鳴らしてくれます。
マア、3Wと言う小出力アンプですから、スピーカーは能率の高いものが必要ですが、あまり特性など気にせず、オルソンアンプのウンチクなどを読みながら、気楽に音楽を楽しむアンプと言えそうです。