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OTLアンプ

2015 年 6 月 14 日 日曜日
R0141940
前回は測定器のお話をしましたが、今回はOTLアンプ。
ご存じない方のために、”OTL”とはOutputTransformarLessの略でアンプの出力段にスピーカーとのインピーダンスマッチングを取るためのトランスが使用されていない形式を言います。(昨今のトランジスターアンプは一部を除いて,殆どがOTLです。)
元々、オーディオアンプは真空管でスタートしたのですが、真空管の内部インピーダンスが高く(数百~数キロΩ)スピーカーのインピーダンス(4~16Ω)との整合がとれず,マッチング用のトランスを介してドライブしていました。このトランスが曲者でインピーダンスマッチングは出来ても、周波数特性が狭くなり、歪率も高くなりとあまり良いことは無く、数十年前のオーディオメーカーは高性能なトランスの開発に注力していました。(放送機器のタムラやLUX、海外ではMacintosh等)
ただ、高性能なトランスは高価で重く一般には中々手が出ないものでした。
元々、お金のないアマチュアはそれならトランスを無くしてしまえと言うことで開発されてきたのがOTLアンプです。メーカーでも様々な回路方式が研究され実用化されてきましたが、商品化されたものは少なく、USAのフッターマンH-3、LUXのMQ36,テクニクス20A等が代表的で,現代でもきちんと保守されているものは高く評価されています。
前置きが長くなりましたが、今回のOTLアンプは6台目!!です。出力管も色々で6080、6336A,17KV6A,6C19P等色々使ってきました。
今回のアンプは6CP19Aを上下4本パラレルで、ステレオで合計16本使用したフッターマン型のアンプです。6C19Pはロシア製の高信頼管で、定電圧電源に使用される内部抵抗の低い(規格では230Ω)3極管です。なぜ16本かというと、6C19Pのヒータ電圧が6.3Vなので16本シリーズにするとAC100Vで点火でき,電源回路の簡素化が図れる為です。
今回、制作過程の写真を撮っておきましたのでご覧ください。
回路図です。

回路図です。

アルミのサッシと板材から切り出し、穴あけをしたところ。

アルミのサッシと板材から切り出し、穴あけをしたところ。

仮組したところ。

仮組したところ。

シャーシーを塗装して組み立てたところ

シャーシーを塗装して組み立てたとこ

主要部品を取り付けたところ。

主要部品を取り付けたところ

配線途中

配線途中

 20cmx40cmのシャーシーに真空管を20本も並べると相当混み合います。内部配線もある程度ブロック化し、組み立て手順を考えておかないと後で苦労することになります。

今回の私の作業はここまでで、後の配線はお師匠様にお願いしました。何分、初段周りの配線はノウハウの塊で、抵抗やコンデンサーの位置やリード線の長さ一つで特性に影響を及ぼします。

自分でやらねばといつも思うのですが、ここは師匠の顔を立てて……….

で出来たのがこれです。

で出来たのがこれです。

 

主な特性は以下の様です。

主な特性

主な特性

入出力特性から、最大出力は約10W、残留ノイズは約1mV、歪み率は最低値で0.08%程度、各周波数とも良くそろっています。

周波数特性は5Hz~200KHzで0.3dB以内、低域が伸びているのはOTLのおかげです。高域がやや悪い(それでも200KHzまで伸びていますが…)のは、初段の負荷抵抗が1.3MΩと高いため,裸の高域特性が悪くNFBの量が減っているせいかと思います。高域の歪み率が少し高いのもこれが原因かと思います。全体に特に問題は無く、普段聴くには十分な特性です。

で、音はというと特性通り低域の良く伸びた,歪み感の少ないOTLらしい音です。この低音はトランス付き真空管アンプでは中々聞けないと思います。

暫くは我が家のMainシステムとして使っていきます。

オルソンアンプ

2012 年 3 月 10 日 土曜日

Olson Type Amp

前回50年前のスピーカ(ゲンコツ)を鳴らしてみたので、今度は同じ時代のアンプを作りました。

表題の「オルソンアンプ」はRCA研究所のハリー・オルソン博士が、1947年に、ボストン交響楽団の生演奏と、スピーカ(RCA LC1A)からの再生音のすり替え実験を行うために、設計・製作されたアンプです。
当然その時代では真空管しかなく、出力もたかだか5W程度で、昨今の数十~数百Wクラスのアンプと比べると見劣りしますが、どの程度の音がするのか聞いてみたいと思っていました。
アンプの特徴は、出力段は五極管(RCA 6F6)の3極管パラレルプッシュプル、無帰還、45回転のレコード再生用のプリアンプが付いています。回路はシンプルで、まるで電子回路の教科書に出てきそうなくらいで、色々な資料に出てくる物理特性も今時のアンプに比べれば貧弱なものの様です。
今回製作にあたり、部品は極力手持ちの部品(ポックリジャンク)を使用することとし、細部まで拘ったイミテーションは諦めます。
(真空管等は、当時のものが手に入りますが、CRやトランスなどは手に入れることが出来ず、又手に入ったとしても経年変化が予想され、あまり使いたくありません。)その雰囲気を再現しようと言うことです。
マニアックな人から見ると「これはオルソンアンプとは言えない」と言われそうですが、所詮趣味の世界なのでお許し願います。
ステレオアンプとして製作するため、手持ちの部品ストックを調べ、以下のような方針で製作しました。
1)パラレルppは諦め、シングルpp ステレオアンプとする。
2)手持ちの電源トランスの関係で、電源電圧は345Vとする。(オリジナルは380V)
3)初段の6J5プリアンプは省略する。
4)電源にチョークコイルを挿入し、ノイズの低下をはかる。(これは手持ちのOPTと同型のチョークがあったため、デザイン上の好みで採用しました。)
5)  極力手持ちの部品を使用する。真空管6F6もRCAの新品が1ダース近くあるので、プレート電流が2%以下のペアーを2set確保できました。
トランス類も、タムラのF685が2個有り、チョークもしかりです。F685のインピーダンスが8KΩなので、あっさりパラレルプッシュプルを諦めました。
レイアウト図
最近は、シャーシレイアウトをMacで作り、原寸でプリントしたものをシャーシーに貼り付けポンチを打ち、穴を空けます。
回路図もCADを使うようになりました。
部品の取り付けがほぼ完成。ケース、トランスを含めて殆どの部品が手持ちで済んでしまうというのは我ながら驚き。いかに長期在庫が多いか…
回路はシンプルなので、配線はゆったりしています。
オリジナルの回路通り調整箇所は一カ所もありません。無調整です。
特性は、個々の部品の性能と、精々部品配置や配線に依存します。
簡単な特性を取ってみると
最大出力 3W x2  残留ノイズ 0.2~0.3mv
周波数特性 10~70kHz ±3db
歪み率 0.5% /1W時
歪みは典型的なソフトディストーション(出力に応じて歪み率が増加する)で小出力時の歪みが少なく、各周波数共に揃っているのが特徴です。又、残留ノイズが少ないのは球のバランスが良くとれているのと、チョークコイルのおかげかも知れません。無帰還アンプとしては良い方だと思います。
で、音は?
未だ十分に聞き込んでいないのですが、例のゲンコツとは相性が良いようで、ボーカルなどは雰囲気がでます。
MainのAltecを鳴らしても、常用の真空管OTLアンプと比べるとダイナミックレンジが狭いかなと感じることはありますが、結構朗々と鳴らしてくれます。
マア、3Wと言う小出力アンプですから、スピーカーは能率の高いものが必要ですが、あまり特性など気にせず、オルソンアンプのウンチクなどを読みながら、気楽に音楽を楽しむアンプと言えそうです。