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不思議景色

2010 年 5 月 17 日 月曜日

夏といえば赤外写真。
赤外フィルム(モノクローム)をご存知だろうか?不可視である近赤外域の波長を可視化するフイルムである。
実例を見るのが早い。このように(↓)、懐かしくも幻想的で気の遠くなりそうな風景表現ができる。

Canal

Canal, early summer

モノクロ赤外フィルムのメジャーなものとしては、KodakのHIEやKonicaの赤外750があり、かつては量販店で購入できたものであるが、残念ながら現在は生産されていない。現在再びいくつか選択肢があるようだが、とても高価であったり、国内取り扱いが無いために海外通販などを行なったりと、非常に厄介である。カラーフィルムでさえ需要が少ない現在、無くなって当然のモノではあるのだが......残念である。

4年ほど前になるか、かつて自家現像などをしていた時代を思い出して、赤外写真が無性に撮りたくなった。フィルムを探したのだが、そのときはすでに見つからなかった。無いとなると、なおさら撮りたくなるものである。
デジカメはどうなのだろうか?デジタルカメラの撮像素子は近赤外にも反応するが、一般撮影の場合赤外は有害光だから、それを除去すべくIR(Infra-red=赤外)カットフィルターが撮像素子前に装着されている。これが取り外せる機種なら良いわけだが、一部を除き固定機種がほとんどだ。自分で取りはずしてしまう改造派もいるが、「現状復帰」出来るのが望ましく、なにより美しい。
ところで、携帯電話のカメラやローコストのデジタルカメラでは、このIRフィルターの効き具合が弱かったり、そもそも省略されているものもあると聞く。本当だろうか?
ダメ元で手持ちのデジタルカメラ何台かで試したところ、なんと、無改造でもそれらしく写るものがあった。いわゆるエントリー機と呼ばれる機種である。赤外撮影の適正条件として、マニュアル露出が出来ること、マニュアルでピント合わせが出来ること、感度を上げてもさほど画像が荒れないこと、などが挙げられるが、いずれの条件も満たした貴重な存在である。それ以来、このカメラは赤外効果専用機として大事に使っている。その他の機種では露光時間が数十秒かかってしまうために、実用には即さない。

Canal, early summer

Canal, early summer

Cycling road

Cycling road

カメラ無改造のこの方式では、可視光カットフィルター(※)を別途レンズに装着する。可視光をほとんどカットしてしまうので、当然ファインダーは真っ暗で何も見えない。可視光を想定して設計された露出計はあてにできない。オートフォーカスは効くが役に立たない。赤外は可視光よりも遠くに焦点を結ぶので、前ピン修正する。ただし赤外指標もあてにならないので、何もかも実写で検証する。(最近のレンズは赤外指標なんか付いていないのでは?)

ここまでをまとめると、
※フィルターは赤外効果と手持ち撮影限界のバランスを考えてSC74を使った。
※ノーファインダー&手持ち撮影なので超ワイドレンズを使う。できれば絞り込む。
※ピントを手前に合わせる。このレンズは50cm目盛りで∞が出た。ただしレンズにより違う。
※実はこのカメラ、赤外でも露出計がそれなりに正確。
撮影後すぐに画面で確認出来るから、失敗したら撮り直せば良い。暗室要らず。なんという便利な時代か!


普通に撮った写真と比較する

■カラー写真

カラー

カラー

普通のカラー写真

■モノクロモード

モノクローム

モノクローム

面白くもなんともない

■可視光カット+カラーモード

赤外効果(カラー)

赤外効果(カラー)

SC74フィルターを装着しカラーモードで撮影すると、このように画面が赤くなる。可視光を完全にカットできていないのと、フィルターの着色と思われるが、我々の「赤外線」に対するイメージをまったく裏切らない色だ。

■可視光カット+モノクロモード

赤外効果

赤外効果

普通のモノクロに較べて、木の暗い影の部分が明るく、幹や枝までよく見える。
こんなに赤外に感じるカメラは普通の撮影でも問題になるのではと思うが、可視光に対して無視できるほどのレベルと判断されたのであろう。しかしこのカメラ通常撮影ではなんとなく赤く写るような気がしている。これがエントリーモデルたる所以だろうが、コストパフォーマンスは最高だ。

赤外写真には以下のような特徴がある。

  • 青空が濃くなる
  • 木々や草の緑が雪景色のように真白く描写される
  • あまりシャープには写らない。その滲み具合が幻想的
  • 青空を落とすにはYやRフィルタでも表現できるが、草木が明るく表現されるのは赤外ならではの効果である。これは葉緑素が赤外をよく反射するからだという。熱でやられないための防衛策だ。
    その他、黒い生地が白く写るのが面白い。これは特定の染料のせいだろう。(決して透けたりはしないので、勘違い無きよう)

    見えない光を写すという意外性が面白いので、人と少し違った表現をしたい方にはお勧めです。